サマーバケーションEP


古川日出男のサマーバケーションEPという本を読んだ。

井の頭公園神田川の源泉(お茶の水)から出発して、月島埠頭、始まりからおわりまで歩いていくお話。

ちょっと特殊な感じ方をする僕、夏休みをとったウナさん、死のうとしてたカネコさん、へそのお姉さん、彼氏のイギリス人のお兄さん、クルクル笑うおじさん、野球帽の小学生たち、新宿区の評議会のメンバーたち、広東さんと北京さんの双子。

これだけのメンバーが入れ替わり立ち替わりしながら海を目指す。

何とはなしに旅物語かあーって感じで手にしたけど、思ったよりも印象的な一冊だった。

僕は人の顔を認識できない。
ものよりも、感覚が先に飛び込んでくる性質で、人の声の検温ができる。
『緑なのは、樹々です。』

この小説は、全部が現在形で、でもingじゃなくて、それもかわっている。
『僕は眠ります。』

そして次々現れる同行者たち、また離脱していく同行者たち。
『僕たちは、3人です。』
『僕たちは、8人です。』
『僕たちは、16人です。』
『僕たちは、3人です。』

僕たちは、23区ではない、三鷹市からきて、東京の、本当に真ん中にきて、真ん中から出て、海に向かいます。


もう一度、夏休みやりたいって思うお話。
ただただ毎日が永遠に続くような気がして、黒こげになって遊んで、アイス食べて、プール行って、宿題は終わらなくて、

いつから夏休みはこんなに短くなったんだろうなあ。
大学生の二ヶ月の夏休みも、半分はバイトで、半分は勉強と少しの遊びで終わっちゃう。
社会人になったら、夏休みなんてない。

でも、ちょっとは、予定のない夏休みしてみようかな。
海まで歩いてみようかな。